足場なしで屋根塗装は可能?法律・費用・施工条件をわかりやすく解説
2025.10.29 (Wed) 更新

「屋根塗装を足場なしでできないだろうか」と考えたことはありませんか?
塗装工事における足場の設置は一般的ですが、その費用負担が大きいと感じる方も少なくありません。特に「少しでも安く済ませたい」「狭い場所で足場が組めるか不安」といった理由から、“足場なし”の選択肢を検討する方が増えています。
しかし、足場を使わずに屋根塗装を行うことは、本当に可能なのでしょうか? もし可能であれば、どんな条件や方法があるのでしょうか? 逆に、どのようなリスクや注意点があるのかも気になるところです。
この記事では、「屋根塗装 足場なし」というテーマについて、施工の可否・法的な観点・工法の種類・足場の役割・費用面の比較などを総合的に解説します。足場の有無によって、仕上がりや安全性がどう変わるのかを知り、後悔しない選択につなげましょう。
目次
- 1.足場なしで屋根塗装は可能なのか?
- 1-1 足場なしでは難しい理由
- 1-2 例外的に足場なしでも可能なケース
- 2.法的に足場なし施工は問題ないのか?
- 2-1 労働安全衛生法の規定
- 2-2 違反した場合のリスク
- 2-3 例外的に足場が不要なケース
- 3.足場を使わない屋根塗装の主な方法とは?
- 3-1 高所作業車を使う方法
- 3-2 ロープアクセス工法(無足場工法)
- 3-3 ゴンドラによる施工
- 3-4 脚立・はしごでの簡易作業
- 4.足場なしでも施工可能な条件・例
- 4-1 足場なしでも施工が可能な条件
- 4-2 注意点
- 5.そもそも足場とは?屋根塗装における足場の役割
- 5-1 作業員の安全を守る
- 5-2 高品質な塗装仕上げを可能にする
- 5-3 近隣への迷惑を最小限に抑える
- 6.足場なし施工のメリットとデメリット
- 6-1 足場なし施工のメリット
- 6-2 足場なし施工のデメリット
- 7.費用比較:足場なし施工 vs 足場あり施工
- 7-1 足場あり施工の費用相場と特徴
- 7-2 足場なし施工の費用相場と特徴
- 7-3 安いだけで判断してはいけない理由
- 7-4 見積もりを取るときのチェックポイント
- 8.信頼できる業者選びと相談のポイント
- 8-1 見積もり内容が詳細で透明性があるか?
- 8-2 安全対策や保険加入の有無を確認する
- 8-3 過去の施工実績と専門資格の有無を確認する
- 8-4 近隣住民への配慮やアフターサービスの説明があるか
- 8-5 相見積もりを取り、価格だけでなく内容も比較する
- 9.まとめ
1.足場なしで屋根塗装は可能なのか?
結論から言うと、一般的な住宅において足場なしで屋根塗装を行うのは、基本的には難しいと考えておくべきです。安全面や法律上の制約から、多くの現場では足場の設置が必須となります。

1-1 足場なしでは難しい理由
- 2階建て以上の建物では高所作業となるため、墜落防止の安全対策が求められる
- 足場がないと作業が不安定になり、塗装ムラや事故のリスクが高まる
- 労働安全衛生法により、2m以上の高所作業には足場などの作業床を設ける義務がある
つまり、安全で品質の高い塗装工事を実現するには、足場はほぼ不可欠な設備と言えます。
1-2 例外的に足場なしでも可能なケース
ただし、次のような条件に当てはまる場合は、足場なしでの施工が可能になるケースもあります。
- 平屋や勾配の緩い屋根など、作業高さが比較的低い場合
- 部分的な補修工事で、短時間かつ限定的な範囲の塗装で済む場合
- 高所作業車やロープアクセス(無足場工法)を使って、安全が確保できる場合
これらはあくまで「例外」であり、すべての現場に当てはまるわけではありません。足場の有無は、建物の構造や周囲の状況を踏まえたうえで、専門業者の判断が必要です。
2.法的に足場なし施工は問題ないのか?
屋根塗装において足場を設置しない施工は、多くのケースで法的に問題があります。特に2階建て以上の建物では、安全性の観点からも、足場設置はほぼ必須です。
2-1 労働安全衛生法の規定
労働安全衛生規則では、高さ2m以上の場所で作業を行う場合、墜落防止のために作業床(=足場)を設けることが義務付けられています。これは職人の安全を守るための最低限の基準であり、足場を省略することは原則として認められていません。
さらに、2024年4月の法改正により、足場設置に関する規定が厳格化され、建物の外側での作業には原則として本足場(手すり付きの足場)の設置が必要となりました。
2-2 違反した場合のリスク
足場の設置を怠ると、法令違反により罰金(最大50万円)が科される可能性があります。また、作業中の事故に対して保険が適用されないケースもあり、施主・業者双方にとって大きなリスクを伴います。
2-3 例外的に足場が不要なケース
以下のような条件を満たす場合には、足場の設置が不要と判断されることもあります。
- 作業高さが2m未満(平屋や屋上など)
- 高所作業車やロープアクセスなどの代替措置で安全が確保されている場合
ただし、これらはあくまで例外であり、現場の状況によって判断されます。自己判断で足場を省略するのは非常に危険です。
3.足場を使わない屋根塗装の主な方法とは?
足場を設置しない場合でも、いくつかの代替手段を用いることで屋根塗装を行うことは可能です。ただし、それぞれに対応できる現場条件や制約があり、すべての建物で適用できるわけではありません。
3-1 高所作業車を使う方法
車両に取り付けられた作業台(バケット)を上下させて塗装作業を行う方法です。地上から屋根に直接アクセスでき、安全性が高いのが特徴です。ただし、作業スペースとして道路や敷地に余裕が必要で、場合によっては道路使用許可が求められます。
3-2 ロープアクセス工法(無足場工法)
ロープやハーネスを使い、職人が建物にぶら下がるような形で作業を行う工法です。足場を組めない狭い場所や高所でも対応可能ですが、専門的な技術と安全管理が求められます。ビルの外壁補修などで多く採用されており、屋根塗装にも応用されています。
3-3 ゴンドラによる施工
主にビルや大型施設向けの方法で、屋上から吊るしたゴンドラに乗って作業を行います。移動の自由度が高く、安全性も確保しやすい一方で、設備の設置が難しい戸建住宅にはあまり向きません。
3-4 脚立・はしごでの簡易作業
一部の低い屋根や平屋での部分塗装に限り、脚立やはしごを使って施工することもあります。ただし、足場に比べて安定性が大きく劣るため、作業の安全性や品質に不安が残る方法です。
これらの方法は、すべて「足場を使わずに施工できる可能性がある選択肢」であり、どれも安全性を確保できることが前提です。
4.足場なしでも施工可能な条件・例
足場なしで屋根塗装ができるかどうかは、建物の構造や作業内容によって異なります。ここでは、足場なしでの施工が可能とされる代表的な条件やケースをご紹介します。
4-1 足場なしでも施工が可能な条件
以下のような条件に当てはまる場合は、足場を設置せずに屋根塗装が行える可能性があります。
- 平屋や陸屋根など、高さが低く安全性が確保できる建物
作業高さが2m未満であれば、法的にも足場設置義務はありません。
- 屋根の勾配が緩やかで作業しやすい場合
傾斜がゆるく、職人が安全に動ける屋根であれば、足場なしでも施工可能なことがあります。
- 部分的な補修や小規模な塗装
全体塗装ではなく、ひび割れ補修や一部のみの塗り替えなどであれば、簡易的な施工でも対応できます。
- 高所作業車やロープアクセス工法が利用できる現場
足場の代替手段として安全性が確保されていれば、足場なしでも法的に問題はありません。
- 建物周囲に作業車両を配置できるスペースがある場合
高所作業車などを使用するには、敷地や道路幅に余裕があることが必要です。
4-2 注意点
足場なしの施工は「できるかどうか」よりも、「安全に、確実に、品質を保ってできるか」が重要です。施工の可否は、現地調査を行ったうえで、専門業者に判断を仰ぐことが不可欠です。
5.そもそも足場とは?屋根塗装における足場の役割
屋根塗装工事において「足場を使う理由」は、単に作業を行いやすくするためだけではありません。足場の設置には、作業者の安全確保、施工の品質向上、そして近隣への配慮という大きな意味があります。
「できるだけ安く済ませたいから足場は不要では?」と考える方も少なくありませんが、実際には足場の有無が工事全体の成否を左右すると言っても過言ではありません。
ここでは、屋根塗装における足場の主な役割を3つの観点から解説します。
5-1 作業員の安全を守る

高所での作業は常に事故のリスクと隣り合わせです。特に屋根塗装は、勾配がある不安定な場所での作業が多く、わずかなミスが命に関わる重大事故につながることもあります。
足場があることで、作業者は安定した足元を確保でき、転倒や転落のリスクを大幅に軽減できます。手すりや安全ネットが設置された足場であれば、万が一のときでも安全性が高くなります。
さらに、法令上も高さ2m以上の高所作業では、墜落防止のための作業床(足場)を設けることが義務づけられており、足場は単なる作業用設備ではなく、安全管理の基本インフラとも言えるのです。
5-2 高品質な塗装仕上げを可能にする

足場があることで、職人は無理のない体勢で作業に集中でき、隅々まで丁寧に塗装を行うことができます。足元が不安定な状況では、集中力が削がれたり、塗装にムラが出たりしてしまうこともあり、仕上がりに影響を及ぼします。
また、足場があることで塗料や工具を身近に置いておけるため、作業効率も格段に向上します。刷毛やローラーの動きも安定し、塗り残しや不均一な塗布といったミスを防ぐことができます。
とくに屋根と外壁の境目、破風板や雨樋など、細部の処理には足場が不可欠。見た目だけでなく耐久性にも関わる品質の差が生まれるポイントでもあるため、足場の有無は長期的な満足度にも影響を与えます。
5-3 近隣への迷惑を最小限に抑える

屋根塗装工事では、高圧洗浄や吹き付け塗装を行う際に、水や塗料の飛び散りが発生します。この飛散を防止するため、足場にメッシュシートを張ることが一般的です。
この養生シートがあることで、塗料の飛散による近隣住宅や車への被害、洗浄時の水しぶきによる迷惑などを未然に防ぐことができます。また、工事の視覚的な目隠しにもなり、近隣の生活環境への配慮としても重要です。
足場を設置しないことで近隣トラブルが発生すると、工事そのものが中断されたり、損害賠償が発生するケースもあるため、トラブル予防の観点でも足場の役割は非常に大きいと言えるでしょう。
足場は単なる「費用のかかるオプション」ではありません。安心して工事を任せられる環境づくりの基本であり、長持ちする美しい仕上がりのためにも欠かせない存在です。
6.足場なし施工のメリットとデメリット
足場を使わない屋根塗装には、コスト削減や工期短縮といった魅力があります。しかしその一方で、安全性や施工品質、近隣とのトラブルリスクなど、見落としてはならないデメリットも多く存在します。
ここでは、足場なし施工の「良い面」と「注意すべき点」を、比較しながら詳しく見ていきましょう。
6-1 足場なし施工のメリット
- 足場代がかからずコストを抑えられる
屋根塗装の総費用において、足場代はおよそ15万〜25万円程度を占めることが多く、決して小さな出費ではありません。足場なしで施工できる場合、この費用がまるごとカットされるため、全体の費用負担が大きく軽減されます。
特に、予算に限りがある方や部分的な補修で済むケースでは、コスト削減の観点から大きなメリットとなります。
- 工期を短縮できる
足場の組み立てと解体には、それぞれ半日〜1日程度の作業が必要です。これに対して足場なしの場合、準備工程が大幅に省けるため、塗装作業をすぐに開始でき、全体の工期を短縮することが可能になります。
突発的な補修や、天候を見ながら短期間で済ませたいというケースにも適しています。
- 狭い場所や特殊な立地でも対応できる
住宅が密集したエリアや、敷地に余裕のない場所では、足場を設置するスペースを確保するのが難しい場合もあります。そうした現場でも、高所作業車やロープアクセス工法などを用いることで、足場なしでも施工が可能になります。
これにより、従来なら施工が困難とされていた現場にも柔軟に対応できるのが利点です。
6-2 足場なし施工のデメリット
- 作業中の安全性が著しく低下する
足場は、作業員が安定して高所作業を行うための作業床として設置されます。足場がない状態では、職人は脚立やロープ、安全帯を使用しながら不安定な体勢で作業することになり、転倒や墜落事故のリスクが大幅に高まります。
安全対策が不十分なまま足場なしで作業を進めることは、法律違反に問われるだけでなく、命に関わる重大な事故につながる危険性もあります。
- 仕上がりの品質が不安定になる
足場があることで、職人は体勢を整え、丁寧に均一な塗装を行うことができます。逆に足場がない場合、動きが制限されるため、塗りムラや塗り残し、細部の仕上げ不足が生じやすくなります。
一見するときれいに仕上がっているように見えても、数年後に劣化が早く進んだり、再塗装が必要になったりする可能性も否定できません。
- 塗料の飛散や近隣トラブルが起こりやすい
足場に取り付ける飛散防止シート(メッシュシート)は、塗料や高圧洗浄時の水が隣家に飛ぶのを防ぐ重要な役割を果たしています。足場がないとこのシートが設置できないため、塗料や水の飛び散りによる近隣トラブルのリスクが高まります。
トラブルの対応に時間や費用がかかってしまえば、せっかく足場代を節約しても逆効果になりかねません。
- 施工できる建物・条件が限られる
足場なし施工は、あくまで「条件が整った場合のみ成立する選択肢」です。建物の高さや屋根の勾配、周辺スペース、安全対策の有無など、厳しい条件をクリアしなければ実現できません。
高所作業車やロープ工法の使用にも、立地条件や資格保有者の有無など制約があるため、現実的には足場が必要になるケースが圧倒的に多いというのが実情です。
足場なし施工には確かにメリットがありますが、それはごく限られた条件下でのみ有効な手段です。「安く済ませたい」「早く終わらせたい」といった気持ちが強すぎると、思わぬリスクや後悔を招くこともあります。
「費用・安全性・品質・近隣配慮」すべてのバランスを考えたうえで、本当に足場が不要かどうかを慎重に判断することが大切です。
7.費用比較:足場なし施工 vs 足場あり施工
屋根塗装を検討する際、気になるのが「総額でいくらかかるのか?」という点。その中でも特に大きなウェイトを占めるのが“足場代”です。「足場なしなら安く済むのでは?」と考える方も多いですが、果たして本当にそうなのでしょうか。
ここでは、足場あり・足場なし施工それぞれの費用相場や内訳を比較しながら、安さの裏にある落とし穴についても解説します。
7-1 足場あり施工の費用相場と特徴
一般的な2階建て住宅(約30坪=およそ100㎡)で屋根塗装を行う場合、足場あり施工では以下のような費用がかかります。
主な費用内訳(目安)
- 足場設置費用:15万〜25万円
※足場の単価は700〜1,200円/㎡程度。外壁も同時施工する場合はさらに上がります。
- 塗装作業費(塗料+人件費):20万〜30万円前後
- 高圧洗浄や養生費、諸経費:3万〜5万円程度
- 総額:おおよそ40万〜60万円が相場
足場ありの施工では、塗装の精度や安全性が確保されるため、長期的な耐久性や仕上がりの美しさに優れるというメリットがあります。
7-2 足場なし施工の費用相場と特徴
一方で、足場なし施工の場合は、以下のような費用に抑えられるケースがあります。
主な費用内訳(目安)
- 足場費用:0円(省略)
- 代替手段の費用(ロープアクセス、高所作業車など):2万〜5万円
- 塗装作業費:足場ありとほぼ同等(20万〜30万円前後)
- 総額:おおよそ25万〜35万円前後
初期費用を大きく抑えられるのが最大の特徴で、予算を優先したい方や、部分的な補修を希望する方にとって魅力的な選択肢となります。
7-3 安いだけで判断してはいけない理由
足場なし施工は確かに金額面では魅力的ですが、以下のような“見えないコスト”が後から発生するリスクもあります。
再塗装や補修のリスク
足元が不安定な状態での塗装は、ムラや塗り残しが発生しやすく、施工不良につながる可能性があります。結果として数年後に再塗装が必要となり、かえって高くつくことも。
近隣トラブル対応費
足場にメッシュシートがないことで、塗料の飛散や高圧洗浄の水が隣家にかかってしまうなど、近隣クレームや損害賠償トラブルが発生するリスクがあります。その対応にも時間と費用がかかります。
保険適用外の可能性
足場を使わず、かつ安全対策が不十分な場合、作業中に事故が起きても、損害保険や労災保険が適用されないことがあります。こうした事態に備える意味でも、安全管理が徹底されている業者を選ぶことが大切です。
7-4 見積もりを取るときのチェックポイント
- 見積書に「足場代」が明記されているか?
- 足場なしの場合、「代替工法(ロープアクセス等)」の費用や安全対策内容が記載されているか?
- 安さだけでなく、「安全」「品質」「保証の有無」なども含めて比較することが重要です。
足場なしの屋根塗装は、条件さえ整えば大きなコストメリットを得られる方法ですが、リスクとのバランスを見極めることが成功のカギとなります。
費用だけにとらわれず、「信頼できる業者にしっかり相談すること」が失敗しない塗装工事への第一歩です。
8.信頼できる業者選びと相談のポイント
「足場なしで屋根塗装をしたい」と思ったとき、もっとも重要なのが信頼できる施工業者を選ぶことです。足場を設置しないという選択は、費用削減という大きなメリットがある一方で、安全性や施工品質への不安、近隣トラブルなどのリスクも伴います。
こうした不安を解消し、納得のいく工事を実現するためには、以下のような視点から業者を見極めることが大切です。
8-1 見積もり内容が詳細で透明性があるか?
まず注目したいのが「見積書の明瞭さ」です。信頼できる業者は、費用の内訳を細かく提示し、なぜその金額になるのかを丁寧に説明してくれます。
チェックポイント:
- 足場代の有無や単価が明記されているか(足場ありの場合)
- 足場なしの場合、ロープアクセス工法や高所作業車の費用、養生費用などが明記されているか
- 追加費用が発生する可能性がある項目(追加塗装、下地処理など)が記載されているか
「足場代無料」とだけ書かれた見積書には注意が必要です。一見お得に見えますが、他の項目に費用が上乗せされていたり、必要な工程が省略されている可能性もあるため、必ず複数社で比較することをおすすめします。
8-2 安全対策や保険加入の有無を確認する
足場なし施工は、通常よりも高い安全管理が求められます。ロープアクセスや高所作業車を使用する場合には、適切な安全装備(フルハーネス、安全帯、落下防止ロープなど)が用意されているか、そして実際に現場で使われるかを事前に確認しましょう。
また、作業中に事故が発生した場合に備えて、以下の保険に加入しているかも重要です。
- 労災保険
- 損害賠償責任保険
- 建設業の請負賠償保険(工事中の物損事故に対応)
こうした保険に加入していない業者を選ぶと、万が一の際に施主がトラブルの矢面に立たされる恐れもあります。契約前に、保険の種類と補償範囲を必ず確認しましょう。
8-3 過去の施工実績と専門資格の有無を確認する
足場なし施工には専門的な知識と技術が必要です。とくにロープアクセス工法は、高所作業に関する法的知識と実務経験が求められ、誰にでもできるものではありません。
確認しておきたい項目:
- 同様の施工実績(足場なし、狭小地、屋根塗装など)があるか
- 高所作業に関する資格(フルハーネス型墜落制止用器具特別教育など)を有しているか
- 実際の施工写真や事例紹介があるか
公式サイトや口コミサイトでレビューを確認し、実績に裏付けされた信頼性をチェックしましょう。訪問見積時に過去の事例や資格証の提示をお願いしても丁寧に対応してくれる業者は、信頼度が高いといえます。
8-4 近隣住民への配慮やアフターサービスの説明があるか
塗装工事では、高圧洗浄や塗料の飛散、作業音などにより、近隣住民に迷惑がかかる可能性があります。足場がない分、飛散防止の対策がより重要になるため、事前の挨拶回りや養生対策、施工時間帯の配慮などについて、業者がどう対応してくれるのか確認しておきましょう。
また、施工後に何か問題が発生した場合に備え、保証の内容やアフターフォローの体制についても説明があるか確認してください。信頼できる業者であれば、工事後も連絡が取りやすく、何かあればすぐに対応してくれます。
8-5 相見積もりを取り、価格だけでなく内容も比較する
1社の見積もりだけで判断するのは非常に危険です。最低でも2~3社から見積もりを取り、費用だけでなく「提案内容・安全対策・保証体制」なども含めて総合的に比較することが大切です。
特に足場なし施工を希望する場合は、「本当に足場が必要ない現場なのか?」という判断も含めて、各社の意見を聞くことでより適切な判断ができるようになります。
9.まとめ
「屋根塗装を足場なしでできるのか?」という疑問に対して、本記事では法的なルール、安全性、施工方法、費用の違い、そして業者選びのポイントまで解説してきました。
結論として、足場なし施工は条件を満たした一部のケースに限り可能です。たとえば平屋や部分補修、高所作業車が使える現場などでは、費用を抑えつつ対応できることもあります。
ただし、安全性の低下や仕上がり品質のばらつき、近隣トラブルのリスクも大きくなるため、慎重な判断が必要です。見積もりの内訳、安全対策、アフター保証の有無など、業者選びにも注意しましょう。
安さだけに惑わされず、安全・品質・費用のバランスを見極めることが、満足できる屋根塗装につながります。
まずは信頼できる業者に相談し、自宅の状況に合った最適な方法を一緒に考えていきましょう。

















